メニュー
ログイン
運営会社について

「ゆうゆうゆう」は、NTTが障がい者の雇用促進を目的に設立した「NTTクラルティ株式会社」によって運営されています。

本文ここから

障害があるからといってできないことは少ない 1/4

2005年6月28日掲載

先天性の視覚障害にして、IT業界や障害スポーツで活躍されている、三菱マテリアル株式会社の井上博徳さんにお話を伺いました。

困ること

写真:自分の障害について語る井上さん

聞き手:

生まれたときから見えないということですが、小さいころから普段の生活で困ったことはありませんか?

井上:

そうですね。「見えたらどうなんだろう?」というのがわからないので、実はあんまり困ることって思いつかないですね。 私にしてみれば、見えていない状態が普通なわけで、なにをやるにもその状態でやることが当たり前になっているのです。 だから、皆さんからそういう質問をされることも多いのですが、答えにけっこう困るのですよ(笑)。

聞き手:

なるほど。ということは、一人で歩くことにも困ることはないのですか?

井上:

もちろん不便は不便ですけど、私は小さいころから一人で歩いていましたし、慣れている道は杖なしで歩いたりもしますので、困ることはそれ程ないですね。

初めての道の場合は、ゆっくり歩きながら自分が歩いた道を記憶してだんだん周辺の地図を頭の中で作っていきます。 その地図ができてきてしまえば心配ないのですが、初めて行くところは、事前に周りの建物やそこまでの道などの関連する情報をインターネットを使って調べてから行くようにしています。

障害物を上手によけたりすると、よく「勘がいいね」と言われますが、ほとんどの場合はいろんな周りの情報を分析しながら歩いているからぶつからないのです。 障害物を見つけるためのいろいろな情報を頭の中では処理しているのですよ、きっと。 そうじゃないと、ぶつかりますよ(笑)。

困ることといえば、ホテルなどの部屋のドアに書いてある部屋番号の確認です。部屋の番号が浮き出ているか彫ってあると、触って見れば数字がわかるので大丈夫なのですけど、印刷してあるものがありますよね。 これは、触っても確認できないので部屋までの道だけを頼りに覚えるのですが、夜にお酒を飲んで帰ってくると記憶が曖昧になったりすることもあって大変ですね。これは困りますね(笑)。

写真:笑顔で語る井上さん

聞き手:

最近になって白杖を持っている人が、視覚に障害のある人だということを認知されてきたと思うのですが、街で声をかけてくれる人がいますよね。 井上さん自身は一人で移動できると思いますが、どう対応されているのですか?

井上:

周りの人は基本的に親切心から声をかけてくれるのです。 私も案内してもらった方が楽なのでそういうときは喜んで連れていってもらいます。 そのときには、「困ったときに声をかけてもらえると助かるんですよね」という話をするようにしています。そうすれば、次にその人が視覚に障害のある人を見かけたときにちょっと声をかけて見ようかなって思ってくれるかもしれないじゃないですか。 私は幸い自分で移動出来ますが、一人での移動が難しい視覚に障害のある人もたくさんいますので、そういう人たちのことも考えて行動することが大切だと思います。

聞き手:

文字のことについてお聞きしたいのですが、普段は点字を使われるのですか?

井上:

高校くらいまではそうでしたが、今はパソコンを使うことがほとんどで、点字を使うことはあまりないですね。 だから忘れそうで(笑)。 点字を読む機会は公的文書がきたりするのでまだあるのですが、書くことはまずないですね。

最近では視覚に障害があっても、音声化ソフトや点字ディスプレーを組み合わせてパソコンを使えるようになりました。 パソコンを使えば、音声案内を聞きながら漢字変換もできます。 ただ、漢字変換ができるのはよいのですが、同音異義語もあり、どういう場合にどういう字を使うのかがわからなければ正しい変換ができませんし、字の形についての知識があまりなかったので、慣れるのに時間がかかりました。

今はパソコンのほうが効率もいいし、文書のやりとりも簡単なので、そちらを使うことがほとんどです。 人間の得る情報の3分の2くらいは視覚から入ってくるといわれていて、それだけの情報量が我々には入ってこないわけです。 その分をどうやって補えばよいのかという問題はとても重要です。私にとっては、最近普及が目覚しいインターネットは、そういう意味で非常に有効な手段で、完全にライフラインの一つになっています。


投稿された内容の著作権は投稿者に帰属します。
投稿のルールは「このサイトについて」をご覧ください。

協賛企業のご紹介

特別協賛企業の製品・サービスのご紹介