メニュー
ログイン
運営会社について

「ゆうゆうゆう」は、NTTが障がい者の雇用促進を目的に設立した「NTTクラルティ株式会社」によって運営されています。

本文ここから

多様な道具を使って、多様なあり方を認められる世の中に 3/4

多様な社会に活かす道具として

中邑:

ただ、支援技術は単なる道具です。何を使うかというよりも、みんなが生きていく世の中をどのように作るか考えることのほうが重要です。 たとえば、既存の就労制度では、フルタイムか、それに近い時間で働ける人しか雇われません。 でも、2時間だけならしっかり働ける、そういう人もいるわけです。それを忘れているから、今は世の中に合う人しか働けない状態になっているんです。

僕の知っているアメリカのプログラマーは、週に3日、小学校の先生をしています。「なんでフルタイムじゃないの?」と聞くと、「いや、3日でいいんだよ。これで最低限の収入を確保して、あとの3日は、障害のある子どもたちのためにプログラムを作るんだ。」と。 そういう生き方を認められるようになれば、もっと障害のある人も働きやすくなります。 ぜひ、そのような社会にしていきましょう。 そこに、AACの考え方があるから、支援技術があるから重い障害のある人が働けるんです。AACも支援技術もただの道具なんです。要は、人間がどう生きるかということを考えるためのプロセスの中にあるにすぎません。 だから、開発者とそのような考えを共有することが重要だと思います。

データに裏づけされたニーズを開発者に伝えたい

聞き手:

今、中邑さんが東大で研究されているのは、そのあたりのことなのでしょうか。

中邑:

社会における支援技術の必要性を、もう少し具体的にするためのデータ取りです。 たとえば、寝たきりになって、テレビのチャンネルが自分で変えられなくなったり、ナースコールが押せなくなった人がたくさんいるんだという話を聞きます。 では、「ナースコールが押せない人が、世の中に何人いるのか?」というデータを誰がもっているのか。 誰も持っていないんです。

また、ナースコールを押せない人が100万人いるとします。ではどうして押せないのか? 理解できないから押せない、あるいは病院の体制によって押せない、身体機能が低いから押せない、など、それがどれくらいいるかというデータがわかって初めて、企業はマーケットとして認識します。そのためのデータを作るという仕事です。

また、より多くの企業が開発に参加するためには、ニーズを細かくわけていくことが必要だと思います。また、シーズや技術も細かくわけていきます。たとえば、「乗りやすい電動車いすを作ってほしい。」というだけのニーズがあったとしても、車いすを作れる会社は少ないですから、ほとんどの会社は「うちとは関係ない」と思ってしまいます。

そこで、車いすを、タイヤ、バッテリー、ベアリング、シートなど、パーツにわけてみます。 すると、たとえば、ファブリック(布地)を作っている会社が、「うちのところで解決できるかもしれない。」と気づきます。そして、「汗をかいて困っている。」「ずり落ちて困っている。」という具体的な問題に取り組むことができます。このように、支援技術もシステム全体として考えるのでは限界があり、細かく分けて考えていく必要があるのです。

聞き手:

そうなると、もっと効率的な開発ができて、商品を安く供給できるかもしれませんね。

中邑:

そうですね。そうすることで、様々な会社が入ってこれます。ATACカンファレンス (毎年12月に開催される、支援技術普及のためのイベント)に、支援技術関係の企業 だけではなく、いろんな人たちが来るようになるというのが重要です。ユニバーサル デザインの切り口で一緒に入るのではなく、「うちの会社も、ここの役割が負え る。」というスタンスが重要なんです。


投稿された内容の著作権は投稿者に帰属します。
投稿のルールは「このサイトについて」をご覧ください。

協賛企業のご紹介

特別協賛企業の製品・サービスのご紹介