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1.弱視児と拡大教科書

2005年11月4日掲載

日本には視覚に障害のある人が約30万人いる。その中で点字を使用する人は約1割の3万人程度ということである。みなさんの中には視覚障害者と聞くと、点字や盲導犬、白杖などを連想される方も多いのではないだろうか。実は日本の視覚障害者の7割以上は見えにくいという障害のある弱視者なのである。また、障害者手帳は持たないが加齢による低視力者を含めると「見えにくさ」という困難がある人は100万人以上とも推定されている。

一口に弱視といっても、その程度や困難の度合いは一人一人異なる。視力だけの問題ではなく、視野の欠損や光に対する順応などさまざまな視覚に関する機能の低下がある。このような困難がある子どもの弱視児が全国には数千名いる。その弱視児の学習環境、とりわけ教科書はどうなっているか、その現状と課題をレポートする。

多くの弱視児にとって通常の検定教科書を読むのには何らかの困難が伴う。例えば、小さな数字で書かれる指数や注釈などの小さい文字、横画が細いため田が川に見えたり、EとC、BとHを読み間違えたりすることがある。絵も複雑な場合は全体を把握できないこともある。もちろん、単純に拡大コピーで事が足りることもあるが、多くの場合、文字を太く大きく書き写した教科書「拡大教科書」が必要になる。この拡大教科書の確保が弱視児の学習環境を整える第1歩になるわけだが、その状況が意外にも整備されていないのである。

まず、盲学校の場合は、小学部の主要4教科及び中学部の主要5教科においてのみ拡大教科書が出版されている。しかし、義務教育段階でもまだ拡大教科書が入手できない教科があったり、高等部段階ではまったく整備が進んでいないのである。日本では今日まで盲学校を設置し、視覚障害の専門教育を盲学校を中心に進めてきたというのが国策であったにも関わらず、盲学校でさえ弱視児自身が自助努力で自分が読みやすい拡大教科書を確保するか、ルーペや拡大読書器で学習せざるを得ないという状況がある。これは一刻も早く改善する必要があるだろう。

弱視児は盲学校だけに在籍しているわけではない。2005年度に文部科学省が行った実態調査によると、全国の小中学校に在籍する弱視児は1739名ということである。これらの子どもたちが拡大教科書を入手しようとすると、現状ではボランティアに依頼し、拡大教科書をつくってもらうしかないという状況である。

プロフィール

写真:宇野さん

宇野 和博/うの かずひろ

1970年6月13日福井県生まれ
筑波大学附属盲学校勤務
弱視当事者として弱視者問題研究会で教育問題を担当


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