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“ろう教育”の可能性1/5

2006年3月22日掲載

今回は、聴覚に障害のある子どもたちのための"ろう教育"について研究している、筑波技術大学の新井孝昭さんにお話を伺いました。

子ども同士の会話の大切さ

聞き手:

新井先生は、ろう教育に携われているそうですが、どんなきっかけがあったのでしょうか?

新井:

14年前、筑波技術短期大学(現:筑波技術大学)で働くことになって、ろう・難聴学生と出会ったことがきっかけです。それ以前は、物理、教育が専門でした。

聞き手:

では、手話を覚えることから始められたのですね。どうやって覚えたのでしょうか?

新井:

今はだいぶ分かるようになりましたが、当初は、本当に大変でした。直接、教えてください、と頼むことはしませんでした。教科書のような通りいっぺんの手話よりも、生の手話を覚えたかったのです。ですから、とにかく見て、真似て覚えました。

学生と積極的に話したり、学生同士の会話をじっと観察して盗んだりしました。また、ときには、ろう者が集まるところへ出向いていって、一緒に飲みながら、手話で会話することの楽しさを学びました。

聞き手:

なぜ、手話を覚えようと思われたのですか?

新井:

この大学には、ろうの学生がたくさんいます。ですから、私が彼らの講師である以上、手話は必要不可欠だと思ったのです。もし、ろうの学生を教える私が手話ができなかったらどうなると思いますか?口話と板書での説明だけになってしまいますよね。それでは、一方通行の授業になってしまいます。授業の中でコミュニケーションが成立しないことが、私はとても悔しかったのです。そこで、手話を覚える覚悟をし、死にものぐるいで半年程の修羅場を通って身につけたのです。その過程で、義務教育からのろう教育がとても重要だと感じるようになりました。

写真:「性格」の手話を表す新井さん

聞き手:

ろうの学生にとって、嬉しいことですね。ではなぜ、ろう教育が重要だと思われたのですか?

新井:

手話を覚え、生徒と接するうちに、私は、ろう学校へ見学に行こうと思うようになりました。幼稚部から高等部までいろいろなろう学校を見学しましたが、特に幼稚部でショックを受けました。一般に、幼児教育の中で大切にされなければならないことは、幼稚園の環境の中で、子ども同士で遊ぶことです。遊びの中で、喧嘩したり、お話をしたり、走り回ったりする時間を多く取るのです。でも、ろう学校の幼稚部では違ったのです。先生と生徒が常に向き合い、先生を通してのコミュニケーションを通して行動していたのです。

聞き手:

つまり、ろうの子ども同士が、会話を交わしたり、遊んだりしていないということですか?

新井:

そうですね。子ども同士の遊びが少なくて、遊びが成り立たないのです。一般に、幼児教育の中では、環境との関わりを通して主体的に活動することがとても大事であると言われているのです。人としてのコミュニケーション能力は、すぐには身につくのではなく、幼児期からの「もの」や「人」との関わりの経験の積み重ねを通してなのです。ですから、まず、幼稚部のあり方から変えていく必要があると考えたのです。そしてそれは、ろう教育全体を見直す、ということにつながります。


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