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“ろう教育”の可能性3/5

バイリンガル教育

写真:「本当」の手話を表す新井さん

聞き手:

楽しそうですね。そのバイリンガル教育とは、どういった教育方法なのですか?

新井:

バイリンガル教育は、もともとは聴者の音声言語の問題としてあったのです。例えば、アメリカなどでは移民も多く、英語が全くわからない子どもたちがたくさんいます。そこで、第二言語として英語を教える必要があります。移民の子どもたちが初めに習得している母語は、生まれた国で習得していますから、それとは別に英語を教えて二つの言語を使いこなせるようにするのが、いわゆるバイリンガル教育なのです。もちろん、これはそれほど簡単なことではないのですけれど。

聞き手:

言われてみると、突然、外国語を覚えるのは確かに難しいですよね。

新井:

そうですね。バイリンガル教育的な他の例として、国際結婚をして生まれた子どもが、両親の言葉をそれぞれ習得するというような場合も考えられます。例えば、私がアメリカ人の女性と結婚してアメリカに住むとします。家庭内では英語が中心であるとすると、社会環境も英語ですから、そこで生まれた子どもは当然、第一言語は英語になりますよね。そして、私の国の日本語も覚えよう、となったときには、第二言語として日本語を学ぶ必要が出てくることになります。

聞き手:

これまでのろう者の場合は、どうなのですか?

新井:

これまでの口話中心の教育では、聴こえない子どもたちは、音声言語を第一言語として身につけるように教育を受けてきました。ですから、私の職場である筑波技術大学に入学してくる学生の半数近くが手話を使えない状態で入学してくるのも当然のことと言えます。しかし、それにもかかわらず、学生が集団で生活する大学生活の中で日本語対応手話の習得は非常に早く進みます。ですから、コミュニケーション環境として手話が重要なものであることを示しているのです。手話表現としては、音声と手指を一緒に使う表現に近いかたちで用いられてはいますが、このことはしかし、口話中心の日本語教育の一つの結果なのです。多くの学生は、幼児期を通して音声言語習得に大変な努力をしてきているのです。

しかし、現在は、手話が言葉としての機能を果たすことがわかっているのですから、聞こえる赤ちゃんが音声言語を選ぶことができるのと同じように、ろうの赤ちゃんが手話言語を選べる環境も用意するべきではないでしょうか。つまり、ろうや難聴の子どもたちは二つの言語をもつことができるわけです。手話言語と音声言語(書記日本語)ですね。

もちろん社会には、聞こえない人だけの国は存在しません。周りには、常に音声言語が存在しています。その中で生活・共存していく必要があるのですから、音声言語も必要です。どちらかだけが大切、と言う問題ではなく、どちらも必要不可欠と考えながら進める必要があります。そこに、ろう教育におけるバイリンガル教育の課題があるのです。

聞き手:

ろう者は小さいときから手話を身に付けて、その上で音声言語による日本語の読み書きを身につけて欲しいわけですね。

新井:

そうです。ですから、ろうの赤ちゃんが手話を身に付けるためには、一緒に住む大人が手話で話しかける必要があると思っています。赤ちゃんだけが手話を身につける努力をしても、覚えるのは無理ですよね。


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