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「ゆうゆうゆう」は、NTTが障がい者の雇用促進を目的に設立した「NTTクラルティ株式会社」によって運営されています。

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“ろう教育”の可能性5/5

みんな、特別な人だから、違っていてあたりまえ

写真:「赤ちゃんを抱えている」を表す新井さん

新井:

何年か前に、デンマークに住む、ろうの子どもをもつ聴者の母親の家を訪れたことがあります。デンマークでは、ろうの子どものために、手話の勉強ができる制度や、親への支援などが整っています。私が「うらやましいです。」と話したら、その方は「まだ、足りないんです。」と言うんです。何が足りないかというと、父親の努力だそうです。会社を休むのがいやで、手話をなかなか覚えることができないと言うことでした。デンマークでさえ、そういうこともあるのです。しかし、そうは言っても、スウェーデンやデンマークでは、あなたもわたしも、みんな一人ひとりが特別な人だというように考えているんですね。だから、障害者という形で一括りにしてしまわないんです。だって、一人一人が特別なのですから、聞こえないとか見えないと言うことだけを特別視して取り上げる必要がないのです。特別な人達で共存する社会を作っているという共通理解が流れているのだと思います。

日本では、聞こえない人は特別だ、見えない人は特別だ、と言うように見るのですが、それを見ている自分は特別ではないと考えている人があまりにも多いように思います。

聞き手:

そうですね、それぞれ、個性があるんですよね。

新井:

そうです。「みんな、特別な人だ」という考え方が、根本的なところにあってできた文化ですね。日本もいつか、そういう文化を持つ国になって欲しいです。私自身はいつもそのように考えているのですが・・・

聞き手:

自分にないものを見ると、自分を変えるきっかけになりますね。

新井:

そうですね、自分とは違うのを見て、興味を持つか、拒否するかによって、そのあとの人生が違っていきますね。当然、好き嫌いはありますが、「聞こえないから??」みたいなことはあまり聞きたくないですね。そのように決めつけてしまう人たちからは「聞こえないから」とか、「だから、あんたは」などという言葉がよく出てきますね。

聞き手:

そうですね、今まで、「聞こえないから、できないんだろう」「だから、だめなんだ」などと、よく言われました。

新井:

そのように相手を見てしまうことは、その人の視野の狭さの証拠なんですね。ですから、私は、そういうことを言われたら「違う!」と言い返せるように、子どもたちを育てたいですね。100%、正しい人はいません。人間だから、差別的な発言を言ってしまうこともあります。そう言うときに、相手に言い返しながら、お互いの理解を深めていく関係が大事だと思います。そういうバランス感覚を磨いて成長して欲しいです。

聞き手:

最後に、「ゆうゆうゆう」の読者にひとことお願いします。

新井:

世界は日本とアメリカだけじゃありません。日本は、様々な価値観の影響を受けています。あまり決めゼリフといった感じではないですが(笑)、他にもいい国はたくさんあります。もっともっと、外に目を向けながら自分の価値観を揺さぶってください。

聞き手:

そうですね、先ほど話されたように北欧にも魅力を感じました。今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

プロフィール

写真:新井さん

新井 孝昭/あらい たかあき
筑波技術大学産業情報学部(旧・筑波技術短期大学聴覚障害関係学科)教員

聴者の大学、予備校、高校、中学、フリースクールなどでの教育への関わりを経て、ろうや難聴の学生と出会う。
それから約15年、ろう、難聴の学生に数学やコンピュータ利用の基礎について教えながら、ろう学校の幼児教育に関わり続ける。
ろう教育での手話の使用と日本語の獲得を重要課題として活動し、ろう・難聴教育研究会の運営に携わる。

また、ろうや難聴の学生を連れての国際交流・研修旅行を続けている。
今まで訪問した国は、米国、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、アイルランド、イギリス、フランス。7年間で、参加学生の総数は150名に及んでいる。


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