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「ゆうゆうゆう」は、NTTが障がい者の雇用促進を目的に設立した「NTTクラルティ株式会社」によって運営されています。

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いろいろな経験は留学がきっかけ2/4

聞き手:

あまり日本語がわからないうちから、専門的な勉強もされたのですか?

アブ:

はい、もう4月からは、普通に鍼・灸・マッサージの勉強でしたね。最初のころ、授業の内容はほとんどわかりません。わかるのは、「だから」「しかし」などの接続詞くらいでしたね。それでも、学校の先生方が放課後などを利用してサポートしてくださり、無事3年で、国家試験に合格し、免許をとることができました。その3年間は、日本語と学校の勉強を、本当に必死でやりましたよ。専門用語と日常の言葉がゴチャゴチャになっていたときもありましたけどね(笑)。

聞き手:

そのとき努力されたから、こんなに日本語がお上手なのですね。日本語を覚えるまで、コミュニケーションを取るための工夫はありましたか?

アブ:

それは、習いたての怪しい日本語しかないですよ(笑)。同級生みんなが日本人、寮に帰ってもルームメイトは日本人、そういう状況になったら、日本語を話すしかないわけですよ。すべて生の教材でした。そのおかげもあって、早く上達できたんでしょうね。

それから、ラジオの野球放送は日本語の勉強をするために、すごく役に立ちました。ラジオでは、聴く人を退屈させないために、いろいろな実況が流れます。たとえば、ホームランになりそうな打球をファインプレイで取ったときには、「球場のざわめきがどよめきに変わりました。」というアナウンスが流れたんですね。普段の生活の中で、「ざわめき」と「どよめき」の違いなんてなかなか頭に入らないですよね。でも、実際の状況に説明がつくことで、すごくわかりやすかったんです。

聞き手:

盲学校を卒業されてからのことをお聞かせください。

アブ:

将来、何をしたいのかを考えたとき、政治や法律の勉強をしたかったんですね。それから、もっと日本語を専門的に勉強して、翻訳の仕事もできるようにしようと思いました。勉強や仕事をするためには、これからはパソコンが扱えないといけないと思い、盲学校卒業後、まず筑波技術短期大学(現、筑波技術大学)でパソコンの勉強をすることにしました。そして、自分の本来勉強したかったことを学びに東京外国語大学に入学したのです。

聞き手:

大学生活をする上で、大学から何か支援してもらっていることはありますか?

アブ:

大学で、部屋をひとつ用意してくれました。点字の機器や、パソコン、スキャナなどを置いてもらっています。点訳作業をしてくれている方もここにいます。ここまでサポートしてくれるのは大変ありがたいことです。

母国の視覚に障害のある人が勉強できるように

写真:インタビュアーと語るアブディンさん

聞き手:

アブディンさんから見た日本についてお聞きしたいのですが、障害のある人への接し方などは、スーダンと日本では違いますか?

アブ:

日本の場合は、障害のある当事者が運動することで、いろいろ変わってきていますよね。特に都市のほうは、道の歩きやすさや、建物のバリアフリー化の面でも改善されています。

スーダンの場合、障害のある人は、何にもできないと思われて、実際に何にもできないままです。たとえば、勉強するための手段もあまりありません。自分なりに頑張って勉強して、普通の人と同じくらいのレベルになると、「すごいですね。」と言われるんですよね。でも、それはすごくいやなことです。「見えないのに」というニュアンスが含まれていることがみえみえですから。

ちゃんと勉強や仕事をする環境が整っていないことが、私の国で一番の問題なのです。

スーダンには、盲学校がひとつしかなく、通える人が限られています。視覚に障害のある人の多くは、普通学校に通うことになり、点字の存在も知りません。そのため、授業のノートを自分でとることもできず、私のように耳学問で勉強しているのです。
そこで、視覚に障害があっても、文字の読み書きができるような環境を作るために、少しずつ活動を始めています。


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