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1.北国の春

2008年7月8日掲載

北国の春、奥入瀬の流れは木漏れ日に輝き、頭上を風が吹き渡る。足元にはキクザキイチゲの群集がそよ風に揺れて。そこにはおとぎの国のような光景が広がっている。

聴覚障害者の私の趣味はバード・ウォッチング。鳥の声が聞こえなくてどうやって探すのか、とお思いの人もいるだろう。バード・ウォッチングの魅力を聴覚障害と絡めて述べてみたい。

普通は鳴き声のする方向を見て探すと思うが、聞こえないと声では探せない。ただひたすら心を開いて『見る』。

北国の階上岳の登山道に佇み、木になった気分で立っていると、好奇心満杯のヤマガラが誰が来たのだろうと見に来る。その数はだんだん増えて…。そのまま動かないでいると、アカゲラも木をつつきにやって来る。

それらを眺めていると、自分が人間なのを忘れてしまう。そして自然の中に溶けている自分に気付く…。

おかしな話だが、聞こえる人と一緒に探すと、私が早く見つけてしまう。見る力の違いかもしれない。思うに、耳に頼りすぎるのがかえっていけないのではないだろうか。

日本三大鳴鳥のひとつ、オオルリに初めて出会ったのは奥入瀬渓流。その姿はまさに瑠璃色。しかも大きい。初めて見ると、いや何度見ても感動に心が震える鳥である。最近感動が薄くなったと感じる人は、是非出会って見て欲しいと思う。

新緑の中に、キビタキの目にも鮮やかな黄色とオレンジは、オオルリとはまた違った感動を呼ぶ。キビタキのかわいい姿、私はこれを自分の誕生日に見たことがある。お金では買えない、自然からの思いがけないプレゼントだった。あなたは感動するプレゼントを誰からか貰った事があるだろうか。

自然には心を打つ出来事が沢山ある。バード・ウォッチングはその感動を知るひとつの手段だ。

聴覚障害なら鳥類図鑑を頭に叩き込んでおけば、鳴き声がわからない不便を補える。一度見た鳥の生態も覚えておこう。季節はいつか。周りはどんな林か。木の上か下か。

…本当のところ、これは聴覚に関係ない話だ。習熟度はどの位好きかによると思うから。君をもっと知りたいんだよ、という努力は努力とは感じないものだ。

とどのつまり、バード・ウォッチングに障害は関係ないのだと思う。聴覚障害ならば、目で楽しめる。視覚障害があるなら、声を楽しめるだろう。観察力の鋭い聴覚障害者と音に敏感な視覚障害者がコンビを組めば、健常者が目じゃない位に鳥をビシバシ見つけることが出来そう!視覚障害者の皆さん、誰か私と一緒に組んでみませんか?

夢は沢山あったほうがいいし、ストレス発散手段も同じだ。という訳で、次回の話は山登り。あなたは富士山に登った事がありますか?

写真:緑に囲まれて流れる奥入瀬渓流

写真は松井さんご本人の撮影によるものです。他にも投稿コーナーでご紹介しています!
松井朋子さんからの写真集

プロフィール

写真:松井さん

松井 朋子/まつい ともこ

1959年青森県生まれ。

幼少時に盲腸炎になり、その時に注射したストレプトマイシン(抗生物質)の副作用により失聴。
普通学校に通うも大学進学で医学部・薬学部・看護学部・臨床検査技師の学校等全てが 聴覚障害に門戸を開かれていない(当時)のを願書提出直前に知り、社会学系大学進学、中退。美術大卒。
修道院にてレザークラフト・バッグ制作技術を習得、クラフトデザインにかかわった後、特別養護老人ホームなどを経て、 現在生命保険会社勤務。

テレビがない生活を送り、趣味は書道・読書・墨絵・登山・ガーデニング・写真・手芸・トールペインティング等。
聴覚障害だけではなく、全ての人のバリアフリーに深い関心を持つ。


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