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運営会社について

「ゆうゆうゆう」は、NTTが障がい者の雇用促進を目的に設立した「NTTクラルティ株式会社」によって運営されています。

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1.偽りのプラス思考などいらない

ここ数年来、幅広い分野で活躍されている障害者をテレビやラジオ等のマス・メディアでよく見かける。 また、インターネットの普及により、障害者自らが情報を発信することもできるようになり、障害者の話題は豊富だ。 このように障害者の話題が多く取り上げられるようになったことで、障害者への理解は深まったように思える。 それらの話題に登場する人たちのほとんどが、明るく前向きに人生を送っている人たち。 中には障害を今流行りのプラス思考でプラスに考える人もいる。 すばらしいことだ。そういう風に生きていけたらどれだけ幸せだろう。 私? 私はそんな偉い人間ではない。 もちろん! 眼が見えないということをプラスに考えたことなど一度もない。 私は自分の障害を受け入れてはいないし、受け入れるつもりもない。 私にとって自分の障害を受け入れるということは、人生を放棄することを意味する。

私は視力ゼロ。 現在IT企業にてシステムエンジニアとして勤務している。 今から約7年ほど前、網膜色素変性症により、完全に視力を失う。 システムエンジニアにとって、視力がゼロというのは業務を遂行する上でかなりきびしい。 しかし、全くの全盲となった今でも、上司、同僚の理解もあり、なんとかできる範囲の仕事をし、障害者であるという差別も受けることなく、会社が定める等級どおりの給料をいただいている。 友人にも恵まれ、私生活もそれなりに充実している。 自分はとても恵まれているとは思う。 しかし、「眼が見えなくてよかった、眼が見えないから得ることができたこともある」、まぁ、そこまでいかなくても、眼が見えないことは決してマイナスではない、という考えはどうしてもできない。 いくら、いま流行のプラス思考的自己暗示でそう言い聞かせても、そんな薄っぺらいメッキはちょっとしたきっかけですぐに剥がれおちる。

仕事で、私生活で、なかなか思うようにいかないとき、そんなときやはり眼が見えないということは不利、ということを感じないわけにはいかない。 それに、これまで経験した多くの挫折、悲しみ、屈辱、それらをそう簡単に拭い去ることはできない。 ただし、私は全盲であるからと言って、障害者だからと言って、社会に背を向けて生きているわけではないし、世間を恨んだこともない。また誰を恨んだこともない。 ただ、眼が見えないということで辛い思いをする度に、悩んだり、落ち込んだりする自分がここにいるのは事実。 悩んだり、落ち込んだり、苦しんだりするのは、何かを求めてそこから抜け出そうとしている、もっと何かできることがある、それを模索している証拠。 そこに無理やり偽りのプラス思考で蓋をする必要はない。

プロフィール

写真:竹本さん

竹本 和弘/たけもと かずひろ

1965年大阪生まれ。
現在東京在住。某中堅IT企業にてシステムエンジニアとして勤務する傍ら、劇団ふぁんハウスで役者として演劇活動を行っている。
2006年10月8日には、NHKラジオ「視覚障害者のみなさんへ」に出演。

劇団ふぁんハウス 新規ウィンドウを開きます
http://www.funhouse.ne.jp/
NHKラジオ第2「視覚障害者のみなさんへ2006年10月」のページ 新規ウィンドウを開きます
http://www.nhk.or.jp/fukushi/shikaku/610.html
NHKオンラインのトップページ 新規ウィンドウを開きます
http://www.nhk.or.jp/

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